2009年6月のある日、カギスターが見積もりに伺ったときのことです。
玄関ドアに補助錠U9 NDRが取り付けていました。
お客さんの話題が補助錠に及んだとき、取り付けた料金を聞いて驚きました。
大手のチェーン店に依頼して\36,000で取り付けてもらったと言うのです。
ストライクは標準の箱受けだから、施工時間と労力、製品代金からして、異常だと感じたことをそのまま伝えました。
「\36,000?うちなら\16,800ですし、高い鍵屋でもいいとこ\20,000じゃないですかねえ」
お客さんは大きなショックを受けています。
「えーそうなの?いやータウンページ見て目立つところに電話しただけなんだけど・・」
言わなきゃよかったのかな、という葛藤を感じてしまいました。
\1,000でも安い鍵屋を探そうと何件も電話する消費者が増えてきた一方、最初に電話した鍵屋さんを信用して、
提示された料金が相場なのかなと、とりあえず納得するお客さんもまた多いのです。
もちろん料金だけで職人仕事の価値を決め付けられませんし、お客さんの満足度が決まるわけでもないでしょう。
しかし、同じアウトプットなのに料金には2倍もの開きが出てくることに対して、このコラムを読む多くの人が
疑問を持つのも当然です。悪徳リフォームのように料金が数十万円という単位ではないので、しょうがないと
あきらめる人も多いのでしょう。「鍵屋のぼったくり事件」といった記事がメディアに掲載されることは、まずありません。
大手チェーンの多くがなぜこんなに高いのか?それは鍵職人を下請けとして使うシステムが出来上がっているからです。
全国津々浦々まで出動すると謳っていても、ほとんどは自社の工事部隊ではなく外部協力業者です。
経営的には固定経費のかかる自社の社員はリスクとなります。
この際包み隠さず真実を語りましょう。
\36,000の料金のうち、40%は大手チェーンが抜き取ります。60%は鍵屋さんの取り分です。
このシステムでは、先ほどの工事を相場料金\18,000程度で請け負うと、全国チェーン本部も鍵屋さんも薄利となり、
双方ともやっていられなくなります。
たしかに大手チェーンは莫大な広告費をかけています。ネット上では、キーワード広告が画面の半分を覆いつくすほど、
そして社内にはSEO対策専任要員がいてサイトを量産する。
タウンページをみれば全国くまなく出動拠点が存在するかのごとく紙面を覆っています。
24時間体制のコールセンターでは多くのオペレーターを抱えています。
これらのコストをペイさせるためにはこれぐらいの料金設定でないと利益を上げ続けるのは難しいのかも知れません。
果たして、これらの鍵屋派遣企業ともいえる会社に社会的存在意義はあるのか?
とカギスターは深く考えてしまいます。
- お客さんは、個人鍵屋に直接依頼する料金の2倍を支払った。
- 工事を行った鍵屋も、直接依頼を受けた仕事に比べて、手取りは少なくなる
- 依頼を横流しした大手チェーンは椅子に座って電話対応しただけの労力の対価として売り上げマージンを頂戴する
win-winの関係ではなく、lose-loseの関係ではないのか?
近江商人の提唱した「三方よし」とは対極の「三方悪し」ではないのか?
大手チェーンの思想としては、仕事を取ったほうが立場が上なのかも知れません。でも鍵屋に言わせれば、
現場に出動して技術・工具・知識を駆使したからこそ、その売り上げが発生したんだという気持ちを持っています。

まさに鍵屋の人材派遣業ともいえるシステムは世の中に必要とは思えない。
人材派遣の多くが、私に言わせればピンはね産業なのです。そうはいっても非合法ビジネスでもないので、
三方悪しの関係を改善するためにはどうすればいいのでしょうか?
消費者が賢くなる必要があり、街の鍵屋さんも一昔前のように職人気質一本槍ではいけない。
- 消費者はこういった鍵業界のシステムを知っておき、選択眼を養う
- 地域の鍵屋さんはもっと集客力をつけるべく、努力しなければならない
- システムの一部に組み込まれない。商売の主導権は常に自分が持つ
料金面だけでなく、アフターサービスのことまで考えるなら、鍵職人と消費者の直接的なつながりが大事なのです。
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