なぜ「あぶないカギ」がこれほど普及したのか?
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MIWAディスクシリンダーと呼ばれるカギは、昭和34年に発売開始されその後何度も改良が加えられ、平成13年3月まで約7000万個が生産されました。平成13年頃の"ピッキング騒動”当時では、住宅の約7割、関東においては8割までもが、バブル時代の億ションでもこのカギが採用されていました。素朴に出てくる疑問は
「なぜあぶない鍵が長年に渡り、しかも大量に採用されてきたのか?」
ということではないでしょうか?この回答は一言でいうと 「安くて壊れない」
からです。ではなぜ安いのか?ディスクは板を意味します。板状の鋳造部品は”プレス加工”技術によって大量生産が可能です。必然的にコストの低下、販売価格の低下につながります。サッシメーカーをはじめとするドアの販売元は、安いという理由でディスクシリンダーを採用し続けてきたのです。加えてシンプルな可動メカニズムであることから故障が非常に少なく、耐久性能が高い。住宅を管理する側、大手ゼネコンや特に公団住宅においてはこれほどありがたいカギはなかったのです。高度経済成長期にはありとあらゆる集合住宅に採用され、飛躍的に生産数が伸びました。
「カギなんて付いていればそれでいい」という時代においては、防犯性を考慮する余地もなかったわけです。また、ピッキングという技術を鍵屋以外に知る人がいない時代でした。
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鍵穴は「く」の形 |
| ピッキング被害が続発してからも生産は続けられた事実 |
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かつて鍵屋の特権であったピッキングという技術が窃盗団などに流出するようになったのが、平成8年頃からだと言われています。被害が続出するようになって、ロックメーカーもピッキング対策シリンダーであるU9を平成3年から発売しています。しかし、ゼネコンやサッシメーカーはディスクシリンダーを採用しつづけました。理由は当然”コスト”です。ドアのメーカーにとっては納期が確実で大量生産に応えられる鍵、下請けロックメーカーにとってはゼネコンから要求される価格に抑えて利益のでるカギが理想でした。つまり双方のメリットが見事に一致していたのです。カギのメーカーは建築業界というピラミッド構造の中にあって建築金物メーカーという業界の底辺に位置するメーカーですから、得意先に物申すことはできません。
「安いカギを作ればそれでいい」
「余計なことをするな」
というゼネコンの姿勢を受け入れざるをえない部分もあったはずです。また、サッシやドアの施工業者が抱える在庫の多くはディスクシリンダーを採用していましたが、あぶないカギだと知らない、あるいは知っていても目の前の在庫をさばきたいのが心情ですから、被害が顕著になってもその後数年間は、多くの新築物件でもあぶないカギが取り付けられました。。つまりは住宅産業という業界の構造それ自体の抱える問題でもあったわけです。カギが建築金物の一つでなく”防犯金物”という認識になったのはつい最近のことです。
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ピッキング工具 |
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